スラスラと答えを黒板に書く倉科くん。
右上がりの、男の子なのにすごく綺麗な字。
その文字ひとつひとつがキラキラ光って見えて、倉科くんの後ろ姿に、心臓が掴まれたみたいにぎゅうっと締め付けられる。
……意地悪。
変な魔法、かけないで。
ドキドキして、どうしていいか分からないじゃん。
「ねえ倉科くん」
「ん?」
「見てこれ」
「はは、何だそれ」
授業中に、後ろの方の席から聞こえた小声の会話が、耳に飛び込んでくる。
倉科くんと、倉科くんの隣の可愛い女の子。
内緒話をするみたいにクスクス笑う声が、なぜだかやけにクリアに聞こえた。
……モヤモヤする。
今までだって、あの2人は喋ってたのかもしれないけど。
でもこんなに気になったことなんてなかった。
きっとそれは、私が倉科くんを──……。



