『──次会う時まで、俺のことばっかり考えてれば?』
夏祭りの日の倉科くんの言葉が、頭の中をぐるぐる回る。
倉科くんの言葉に、大した意味はなかったの?
もしかしたら私のことが好きなんじゃないかって、それは私のただの勘違い?
……なんでそんなに普通なの、ばか。
「……どうかした?」
黙ったまま俯く私の顔を、倉科くんが覗き込む。
ばちっと目が合って、倉科くんのその仕草だけでまた私の体温は上がる。
「……何でもないし」
悔しくて、つい素っ気なく返事をして教室に向かう。
少し驚いた顔の倉科くんが、私の背中を見ていた。
……ずるい、ずるい。
こんなにドキドキさせておいて。
夏休み中ずっと、きみのこと考えさせておいて。
──こんなに好きに、させておいて。
意地悪にもほどがあるよ、倉科くん。



