「アホ、何してんだよ!」 焦ったような、怒ったような、大きな声。 お兄さんに掴まれていた私の腕を引き、私を大きなその背中に隠したのは、意地悪なはずだった倉科くん。 「倉科く、」 「行くぞ」 それだけ言って、私の手を握って今来た道を引き返す倉科くん。 お兄さんたちが後ろから何か言ったけど、よく聞こえなかった。 お兄さん2人から見えないところまで移動すると、倉科くんが立ち止まる。