「……来る?」 手を広げる唯くんの胸に飛び込んだら、私の大好きな腕に閉じ込められた。 唯くんの匂い、好きだなぁ。 「……お前さ、嫌いとか言うなよ」 「ご、ごめ……」 「柑奈に言われると、すげえキツい」 唯くんって、もしかして。 私のこと、かなり好きなんじゃないの? 私が「嫌い」って言ったひと言で、泣きそうな顔するなんて。 私にだけは、そんなこと言われたくないなんて。 私の存在を確かめるみたいに、私を苦しいくらい強く抱きしめる彼の温もりに、思わず頬が緩んだ。