「……ちょっと待って、無理」
急に口を離した唯くんのせいで、パチンとシャボン玉が弾けてしまった。
小さく飛沫を飛ばして、一瞬で消えてしまったふたつのシャボン玉。
「もう、唯くん!」
せっかく上手くいってたのに、壊れちゃったじゃん!
「どうかしたの?」
下を向く唯くんの顔を覗き込むと、少し頬が赤い気がする。
どうしたんだろう?
「……近い」
「へ?」
私と目を合わせずに下を向いたまま、小さく呟く唯くん。
よく聞こえなくて、もう一度聞き返す。
「顔、近い」
「え……」
たしかに、唯くんのシャボン玉の中に私がシャボン玉を作るんだから、必然的に向かい合った顔は近かったけど。



