「あれ、柑奈?」 じわりと目の奥に涙が溜まって、誰もいない公園のベンチで1人、泣きそうになっていると。 聞き慣れた、大好きな声が聞こえた。 「唯、くん」 ふわふわの茶色い髪。制服姿のままの唯くん。大好きな彼を見た瞬間、ほっとして、ぽろぽろ涙が溢れてきた。 唯くんは驚いたように目を見張って、私に駆け寄って、ベンチの隣に座る。 「どうした?」 「あの、ね」