「あんまり可愛いことばっか言わないで」



ぎゅう、と私を一瞬抱きしめ返した唯くん。

ぱっと離されて、寂しくなる。



「ねえ、唯くん、」


「……我慢できなくなるだろ」

「我慢って……?」



唯くん、なにか我慢してるの?

不思議に思って首を傾げたら、またため息をつかれてしまった。



「鈍感女」


くしゃ、と私の髪を撫でて、唯くんは砂浜に上がった。


もう、髪乱れちゃったじゃん。唯くんだって私に触ったんだから、私にも触らせてくれてもいいのに。



むう、と膨れながらも唯くんのあとを追って、みんなのところに戻った。

2人でなにしてたの〜!?なんて揶揄われたけれど、慌てる私とは対照的に、唯くんはいつも通りの塩対応だった。