「あっ、ほら、倉科くんいるよ!」
自分たちの教室のテントに戻ると、唯くんがクラスメイトの男の子と楽しそうに喋っていた。
お昼のピークは過ぎたから、お客さんはそこまで多くない。
「話しかけておいで」と優ちゃんに背中を押されて、テントに入るけれど。
「わ、百井さんドレスじゃん」
「えー、柑奈ちゃんかわいい!」
ドレスが目立っていたせいで、クラスメイトに囲まれてしまった。
唯くんもびっくりした顔で私を見ている。
ばちっと視線が絡んで。
「……っ」
さっき自分がしてしまったキス未遂。
それから唯くんの驚いた顔。
あの時の場面がフラッシュバックして、かあっと顔が熱くなる。
だ、だめだ!唯くんの顔見れないよ!



