「優ちゃんー……どうしよう」

「え……キス失敗した!?」

「ちょっと、声大きい!」

「ご、ごめんびっくりして……そっかぁ、それは倉科くん焦ってるだろうね」




クスクス笑う優ちゃんに、「笑い事じゃないよ!」と頬を膨らませる。


どうしよう、唯くんに引かれちゃってたら。

もういっそ、私がキスしたかったことにも気づかずにいてほしい。



「大丈夫だって。待ってればきっと倉科くんの方から来るから」

「無理だよー、もう顔合わせられない……」

「大丈夫大丈夫!倉科くんもうれしいに決まってるって」



優ちゃんに励まされながらも、私はクラスの手伝いを頑張って、頭の中からさっきのキス未遂事件のことを追いやろうと必死だった。