「そういえば俺、この映画見たことないんだよね」


始まりは、唯くんのそんな一言だった。国民的アニメ映画のひとつで、私が大好きなその映画を唯くんが見たことがないって言うから。



「絶対見たほうがいいよ!私の家にDVDあるし、今から一緒に見よう!」



この素晴らしい映画を見たことないなんて勿体無い!そう思って、カフェでお喋りデートだった予定を変更し、私の家に向かっている。



「そんなに好きなのかよ」

「うん、大好き!」



じりじりと暑い、夏の太陽。セミの鳴き声が、夏休みの雰囲気を引き立てている。