「ん……ゆい、くん」



小さな声で寝言を言いながら、柑奈の小さくて白い手が俺のTシャツを掴む。



「っ……」



ずるいだろ。
なんなんだよ、天使みたいな顔して小悪魔みたいなことするなよ。


それでも俺のシャツを掴んで離さない小さな手が愛おしくて。

触れたら壊れてしまいそうな柔らかい身体を、守りたくて。


観念して布団に入って、柑奈の体を腕の中に閉じ込める。

思っていたよりも華奢な体は、すっぽりと俺の腕の中に収まる。


眠ったまま、嬉しそうに頬を緩める柑奈に、何度目かのため息をつく。



「(寝れねー……)」



きっと一睡もできないまま、夜が明けるんだろう。