『はい、どうした?』


で、出た!自分から掛けたくせに、いざ大好きな声が聞こえると緊張してしまう。

2回の呼び出し音のあと、唯くんの声。
ああ、声を聞いただけで心の奥がぽかぽかしてくる。



「あ、あのね、ちょっと声が聴きたくて……」


誤魔化すようにそう言って笑うと、少し心配そうな唯くんの声が聞こえてきた。


『……何かあった?』

「いや、だから声が……」

『そうじゃなくて。元気なくね?ちょっと声震えてるし』

「っ、」



何でわかるんだろう。

声だけしか聞こえないはずなのに。
私、元気に話してるつもりだったのに。




なんでもないよ、って言おうとしたけれど、唯くんにそんな嘘は通用しないと思い直す。


「……雷が、ちょっと怖くて」

『ああ、なるほどね。……大丈夫か?』


納得したような唯くんの声。

声を聞いてるだけで、少し安心できるからすごい。