「倉科くん、いつも通りだった……」 「嫌がられてたらって思ったら、怖かったんだよ」 「……意地悪もしてこなかった」 「……いつも、からかってごめん」 抱きしめられる腕に、力が入る。 私が抱きしめ返したら、もっと強く抱きしめてくれる。 「……私以外の女の子に、いじわる、しないで」 漏れたのは、小さな小さな声の本音。 「え……?」 「倉科くんの意地悪は、嫌じゃない」 ……むしろ、私にかまってくれることが嬉しいよ。 かまってくれないと寂しいよ。 他の女の子に意地悪したら、嫌だよ。