「……まあ、無理に言わなくてもいいけど。
何か悩んでるならちゃんと言ってよ?」

「うん、ありがとう……!」




倉科くんが好きだって言ったら、びっくりするかな。

優ちゃん、驚くかな。


でも言うなら、1番最初に倉科くんに言いたかったな。




「……なあ、百井」



「っ……!」



倉科くん……!


優ちゃんが自分の席に戻って、私も次の授業の準備をしようと教科書を探していた時。



不意打ちで、1週間ぶりに、倉科くんから声をかけられたから。


びっくりして、思いっきり顔をそらしてしまった。




「っ……ごめん、何でもない」


「あ……」



傷ついたような顔をして、顔を逸らして。

そのまま自分の席に戻ってしまった倉科くん。


違う、嫌だったわけじゃないの。
びっくりしちゃっただけで……。




なんて、心の中で言い訳したって、背を向けてしまった倉科くんには届かなくて。



ばか、ばか。


せっかく話しかけてくれたのに、ずっと喋りたかったのに。



何でこんなことしちゃったの、ばか。