健太から聞いたアズマのこと知ってたっていう奴は、一年前までアズマ達と一緒のグループにいたらしい。
最初は違和感なかったのだが、グループの頭の成瀬という男が絡んできてからは、薬の運び屋をやらされるようになった。
さらに、売れそうな男や女がいた場合には薬を飲ませて大人しくし、ヤクザのところへ売春していたという。
逃げようとすることが成瀬にバレると、裏切った者として罰がくだると脅されていた。
それでも隙を見て逃げ出し、警察にかけこんだが、今だ警察も証拠がつかめず捕まえることができないらしい。
信じられない話に頭が真っ白になる。
アズマは前に、さおりを売春することもできると脅してきたことがあった。
そんなことを本当にやっていたとは…
「なんて話だよ…」
健太との電話を切った後、独り言のようにつぶやいた。
今までそんな奴と絡んできたなんて、考えたくもない。
一歩間違えてたら、自分も薬のトラブルに巻き込まれていたかもしれない。
俺はスマホを握りしめたまま、動くことができなかった。



