アズマが薬物の密売をしてることを聞くと、健太とさおりの顔が青ざめた。
さおりは動揺した声で言った。
「ねえ、それ警察に話した方がいいんじゃないの?」
「警察…」
「だって、このままじゃ拓夢まで巻き込まれるかもしれないでしょ!」
確かにそうだ。
薬物をやってる奴と一緒にいたら、危険しかないことぐらいわかる。
俺は思い出したことがあり、はっと顔を上げた。
この前バイト先に来たアズマの知り合いのあの集団…
たしかヨースケって男だったか。
目がイってたあの集団が放つ異様な雰囲気。
そしてアズマが言ってた掛け持ちしてるバイトって…
ドラッグの密売のことだったんだ。
あの集団とアズマでやってるに違いない。
さおりが再び言った。
「ねえ、だから警察に…」
「いや、まだ確証がないからもう少し様子見てみようぜ」
健太がさおりの言葉をさえぎって言ったのを聞いて、俺は黙ってうなづいた。