そして着いた場所は、さおりのアパート。


急いで階段を駆け上がって二階に着くと、さおりの部屋のインターホンを鳴らした。


中から返事が聞こえて、ドアが開く。


「拓夢!?どうしたの?」


再び戻ってきたことにさおりは驚いている。


息切れしたまま玄関へ入ると、きつくさおりを抱きしめた。


「拓夢・・?」


さおりはいつもと違う俺に戸惑いながらも、背中に手を回してくれた。


「拓夢、アズマ君と何かあったの?」


ベッドに横並びで座り、さおりが俺の顔を覗き込みながら聞いてきた。


「さおりと別れろって言われたんだ。アズマにとってさおりは邪魔だからって」


「それで拓夢は何て言ったの?」


「もちろんそんな事できないって言ったよ!けど・・」


「けど?」


アズマが言ってた事を話そうとしたが、俺は口をつむんだ。


言っても、さおりを怖がらせるだけだ。


「いや・・さおりは何も心配しなくていいから。俺、もうあいつと関わる事はねーし」


そう言って、さおりの頭を撫でる。