夕方に部屋の片づけが終わり、一息ついていた。
まぶしい西日が部屋に差し込んできた時、アズマが上着を持って立ち上がった。
「俺、そろそろ帰るわ」
「あっ、俺もコンビニに買い物あるから一緒に出るよ」
コーヒーの粉が今朝切れたことを思い出し、俺も立ち上がって上着を羽織った。
二人でアパートを出て、並んで歩く。
「お前、今日泊まるとこあるの?」
昨日借金取りに見つかったのに、帰る場所があるわけない。
つい、答えがわかっている質問をしてしまった。
アズマは特に考えもせず、しれっと答えた。
「とりあえず、しばらくはこの辺のホテルに泊まるよ」
「そうか…あっあのさ…」
「ん?」
''また泊まりに来たかったら来てもいいから''という言葉が、喉でつっかえてしまった。
「なんだよ?」
「いや、なんでもない」
結局、喉で詰まらせたまま言えなかった。
まだ心のどこかで、アズマのこと信用していないのかもしれない。
時々、アズマの考えてることがわからない時があるせいで、そこまで入っていないが、通帳ごと盗まれるかもしれないとか考えてしまう。
どうやったらアズマを信じられるのか。
その方法をまだ知らないのだ。



