「親戚とか頼るやついねーの?」
「さあ・・親父が借金してるとわかったとたん、急に避けるようになったから」
「じゃあ、今までずっと一人でやってきたのかよ?」
「ああ。借金取りに見つからないように、いろんなとこ転々としてな」
こいつはいろいろ苦労して生きてきたんだな。
俺は黙ってコーヒーをすすった。
借金抱えながらも一人で生きていることに、少しだけ感心してしまった。
もし、この立場が自分だったらどうしていいのかわからないし、死にたくなるだろう。
それをアズマはいくつもバイトして稼いで、一人で返済しようとしてるのだから賢いと思う。
「そうだったのか。でもやばくないか?」
「何が?」
「お前の家、またバレたんだろ?」
あ、とアズマは今頃事の重大さに気づいたようだ。
このまま家に戻っても、しつこく借金取りが訪ねてくることになる。
しばらく沈黙が続くと、アズマは俺に向かって両手を顔の前で合わせて頭を下げた。
「拓夢、頼む!今晩だけここに泊めてくれ」
今晩だけと聞いて安心した。明後日にはさおりが来るからだ。



