ったく、いったい何やってんだよこんな時間に。
階段を降りていくと、アパートの塀の陰に身を潜めているアズマがいた。
アズマはフードを深くかぶっている。
「何やってんだよ、こんなとこで」
アズマに近づくと、アズマはしっ!と言って唇に人差し指を当てた。
すると、塀の向こう側の道をバタバタと駆け抜けていく、複数の足音を聞いた。
アズマは両手でフードを抑え、身を潜めている。
その表情は今までに見た事ないおびえた表情だった。
アズマが静かに口を開いた。
「あいつら借金取りなんだ」
「借金取り?何でそんなのに・・」
「さっきバイクを戻しにいった後、タクシーで家に帰ったら家の前で待ち伏せしてやがって、さっきからずっとこの調子でさ」
再びバタバタと足音がこっちに近づいてきた。
アズマはフードをぎゅっとつかむ。
何やら男たちの話し声も聞こえてきた。
塀の外で血眼になってアズマを探しているヤクザの姿が想像できる。
借金取りに追われて逃げ隠れしているアズマが、気の毒に思えた。
「とりあえず中入れよ」
アズマは、えっと顔を上げた。



