俺が和水と知り合ったのは高校一年生になって半年が過ぎた頃だった。

俺の友達の祥哉に誘われて祥哉の彼女の教室に行った時に和水と出逢った。



和水は他の女子とは違うタイプだった。



大抵の女子は男の前と女の前で話し方や仕草がかわる。いわゆる“ぶりっ子”ってやつだ。


でも、和水は違った。
男の前でも女の前でも話し方も仕草も何も変わらない。
それだけじゃない。
そこらへんの男よりもサッパリした性格だからか女子にモテるわ、女友達も男友達もたくさんいるわ、成績もそこそこ上で運動もできるわ……

一言で言おう。完璧な女だ。


そんな和水が、ある1人の男の前でだけ完璧じゃなくなる。


そのある1人の男の名は、穂志 和也


俺と和水と和也は同級生。クラスは全員ばらばらだ。


和也はどことなく和水と似ている。


顔が似てるんじゃなくて、性格や言動、考え方が似ている。



案の定、和水と和也は仲が良い。



2人とも違う中学出身で、高校に入ってから知り合った。それなのに、周りから付き合ってるんじゃないかと思われるくらい仲が良い。


和水と和也は口を揃えて、話が合うからかわかんないけど、話してたらいつの間にか時間が過ぎていると言う。


仲よすぎだろ


俺はというと、和水とは相談し合える仲になった。和也とは会えば話すくらいの仲だ。




この際はっきり言っておこう。

俺は和水が好きだ



知り合ってから何回か話しているうちに好きになっていた。



でも、この想いは伝えられないまま1年が過ぎた。


なぜって?


和水は和也のことが好きだからだ


だからこそ完璧な和水が和也の前だけでは完璧じゃなくなる。俺や他のやつと話すときより表情が豊かになる。


そして、和水の視線の先にはいつも和也がいる。


和水が和也を好きだということを、俺は和水本人から聞いた。

俺は告白なんてしていない。
和水が俺に相談してきたんだ。
確か、1年生の冬に…

「南城…私ね、好きな人いるんだ」

「それって、俺も知ってるやつ?」

「…うん」

『顔真っ赤にしてやがる…誰だよ!好き
な奴って‼︎』

「……で?誰なんだ?好きな奴って」

「誰にも言わないでね?」

「信用ねえなぁ〜」

「信用してるからこうやって南城に相談
してるんでしょ⁈」

「そう怒んなって」

「怒ってない!」

「で?誰なんだよ」

「……っか…」

「か?」

「…………和也」

「⁈」

「私ね、いつの間にか和也のこと好きに
なってた。」

「…………」

「…南城?」

「そうか…和也か」

「うん!絶対に内緒だよ⁈」

「誰にも言わねぇよ」