箱庭センチメンタル




分かっていたこと。


静かに3人分のお茶を入れながら、またぼんやりと一人考えに耽ってしまう。



気付けばすぐ近くには真也の姿があった。


「お茶、俺が運ぶよ」


言いながら、3人分のお茶が入ったコップをお盆に乗せる。


「ありがとう、ございます…」


「ふはっ、これくらいいいよ」


何やら楽しげな真也が笑みを浮かべて、リビングに戻ろうと私に背を向ける。


その後ろ姿が遠のいてしまうのが無性に寂しくて、真也の服をくいっと掴んで引き留める。


「ん?」


振り向いた真也はやはり笑顔で。


その笑顔がいつもより眩しく見えた。



胸の中の蟠りがすっと解けていく。


真也は私だけの存在ではないけれど、その笑顔を一瞬でも向けられると勘違いしてしまいそうになる。


私が特別なのだと。


そう、錯覚してしまいそうになるのだ。



それでもいい。


今だけは、優しい真也の側にいれるだけで十分で。


ただただ、泣けるわけもないのに、泣きそうな気持ちになってしまった。