流れに身を任せ、二人見つめ合うこと数秒。
「おーい、二人の世界に入んなよ」
粕谷さんの存在を一瞬忘れかけていた。
「お茶をお入れしますね」
言うが早いか、台所へと向かう。
お茶を入れている間、リビングでの会話に耳をすませる。
「真也にあーんな美人の彼女ができるとはなー」
「っか、のじょじゃないから…」
「でも一緒に住んでんだろ?」
「す、住んでるけどそれも一時的なものと言うか…何というか…」
“一時的”
その通りだ、私はずっとここにいるわけではない。
いつかはいなくなる。
真也からしてみても、いずれ私の存在は過去のものとなる。
それがほんの少し、本当に少し、もの寂しいけれど、きっと今が特殊な状況なだけ。
優しい彼だから、困っていた私にほんの一時手を差し伸べただけ。



