箱庭センチメンタル




「…あの…?」


「び…」


「はい?」



彼から発せられたのは、ごく短い"び"と言う言葉のみ。


意図が読めず、冷静に続きを窺っていると。



「美人!うわあ、すっげー美人!真也、この子どうしたんだよ!?」


……はい?


拍子抜けをするような言葉に、今度は私が戸惑う方だった。



「名前はー!?」


「えと、あの…」


肩をガシッと掴まれる。


その容姿のせいだろう、妙な眼力がある。



「渉、ちょいストップ。雛李が怯えるから。つか、勝手に触んな」


ぺし、と肩に置かれた手を払って、私を庇うように真也が間に入る。


「えー、何だよ。いいだろこれくらい。……あ、雛李って名前か?」


真也の体がびくりと揺れて、墓穴を掘ったことだけは分かった。


どうしたものか、と思案していると、真也が振り向き、私にしか見えないように指先で小さくバツを作って見せてきた。


……。