「おー名無し。どした?」
未だ子猫に名前は付いておらず、名無しのまま。
「お腹が空いたのでしょうか」
台所にある猫皿にご飯を入れるべく、立ち上がる。
その瞬間、誘導するように台所に向かう子猫。
床に置いてある皿にキャットフードを入れてやると、物凄い勢いで食べ始めた。
その姿を見ようとしゃがみ込み、顔を下へ倒すと、後ろに結んだ長い髪が首筋へと流れてくる。
鬱陶しいけれど、切るわけにはいかない。
髪を摘んで小さく息をついていると。
ピンポーン、とインターホンが鳴った。
誰か来たようだ。
リビングへと戻れば、インターホンのモニターを苦い顔で見つめる真也の姿があった。
なぜ応答しないのだろう、と不思議に思っていると、再びインターホンが鳴る。
「出ないのですか?」
「うー、で、出る…」
はあ、と小さく息を付いて、決心したような真也は通話ボタンを押した。



