一ヶ月経つ前に屋敷へ戻ろうかと考えた。
私には他に残されていないのだから、無駄に時間を消費しても仕方がない。
外の世界は、美しかった。
空を見上げる。
何と晴れ渡った壮大な世界なのでしょうか。
自由も未来も、そこには全てある。
ただ、届かない。
これ以上見ていれば、私の歪んだ心に穢されそうで怖い。
私はそっと、その広く澄み渡ったそこから目を逸らした。
「……なり…」
びくり、と体が揺れる。
この騒がしい喧騒の中で、確かに聞こえた声。
「…雛李っ…」
近くで声がした。
そう感じた瞬間、肩に触れる何か。
ああ、来てしまったのですね。
私の落胆の心とは裏腹に、揺れ動き弾み出す心。
貴方を見ただけで、こんなにも、出ない涙を求めて泣いてしまいそう。
「……真也…」
どうしたら、いいのだろうか。



