「ここの美味いって評判なんだ!買ってくる!」
全く聞く耳を持たない上に、真也の中ではそれを食べることが決定事項のようで、話も進んでしまっている。
「え、ですから私は…」
「そこで待ってろなー!」
戸惑う私に、シンは手を振りながら大声を上げて走り去っていった。
……まったく、嵐のような人だ。
そこからしばらく時間が経ったけれど、列はなかなか進んでいないようで、遠目には嬉々としてその列に並ぶ真也の姿が見える。
もういいのだと、声をかけた方が良いだろうか。
私自身、そこまで空腹なわけでもない。
未知のものへの興味はあるけれど、それは微々たるもので、並ぶほど食べたいと言う気持ちは芽生えなかった。
やはり、声をかけに行こう。
断ることへの抵抗は多少なりともあったけれど。決意を固めて足を踏み出す。
……と、とん、と軽く肩が誰かにぶつかってしまった。
どうやら立ち止まっていたのが通行の邪魔になったらしい。



