ロディは、自分の主人にしか情報を流さないはず。

ということは…?


私は、少し躊躇しながらロディに尋ねた。


「もしかして…ロディの主人ってギルなの…?」


ロディは、その言葉に黙り込んだ。

動揺を悟らせないようにしているようだが、私が質問をした時、かすかにロディのまとう雰囲気が変わった。

ロディは、ちらりとバックミラー越しにギルを見る。


少しの沈黙の後、ギルが観念したように笑って口を開いた。


「ロディ、この際だ。もう隠し通すことも出来ないだろ」


じゃあ…!

私が目を見開いて二人を見つめると、ロディは前を向いたまま私に言った。


「あぁ、そうだ。嬢ちゃんの言う通り、俺はギルに雇われた、コイツ専属の情報屋だ」


私は、すべてが繋がったように感じた。

街で密かに噂になっている凄腕の情報屋“黒き狼”は、闇喰いギル専属の情報屋だったんだ。


すごい…!


私が感心していると、隣に座るギルが真剣な顔つきで私を見た。

そして、覚悟を決めたように口を開く。


「ルミナ、話があるんだ。…今までのことと、これからの君の話だよ」

「話…?」


緊張感漂う中、私はギルの言葉の続きを黙って待つ。

すると、ギルはゆっくりと話し始めた。


「薄々気づいているかもしれないけど…僕はラドリーさんが亡くなった二年前から、君の中にあるシンを狙う闇たちを密かに始末してきた」


想像通りの言葉に、私はどくん!と心臓が鳴った。


「どうして私のことを守ってくれていたの…?」


すると、ギルは弱々しく微笑んで、どこか悲しい瞳で答えた。


「僕は、君のお父さんに大きな恩があってね。…恩返しをするため、亡くなる前のラドリーさんと、ルミナをラドリーさんの代わりに守っていく約束をしたんだ」


お父さんと…約束を?

そこまでしてくれるほどの恩って、一体なにがあったんだろう?