此処は、とある山奥にある孤児院。




「ツッキー!待って、走るの早いよっ...!」



孤児院の中では、小学生と思しき男児が、高校生程の背丈を持つ男子を追いかけていた。


「駒田、早く来いよ!」


前を走る男子は、息を切らして廊下を駆けながら、後方をついてくる駒田という先ほどの小柄な男児に語りかける。


「駒田も、連絡板見ただろ?!俺たち15人の引き取り親が決まったって貼り紙!!あんなの見たら、早く院長に話し聞きたいって思うじゃん!」



ツッキーと呼ばれたその男子は、足を止めない。


そのまま全速力で、院長室のプレートが掲げられた部屋に飛び込む。そして部屋に飛び込むなり、息も絶え絶えに言葉を発した。




「院長!!あの貼り紙、一体どういうことだよ?!」



院長室には既に、彼と駒田以外の13人が集まっていた。




ギャル風な女子から、真面目そうな男子まで....。


「ツッキー、入って来て早々うるさすぎ。」


中性的な顔立ちをしたボブヘアーの男子が、入り口に立つツッキーなる男子を見て微笑む。



「ほんと、うるさーい。もっと静かに入って来れないのー?」
「もうちょい落ち着いたら、ツッキーも女の子にモテると思うよぉ?」


金髪と茶髪のギャル風の2人組も、そう首を縦に振っていた。


他にも、個性的な面々が揃っていた。色黒の男子に、メルヘンチックな私服を着た女子などなど...。


彼らは皆、この同じ屋根の下で育った子供たちである。


ツッキーと呼ばれた男子と遅れてやって来た駒田を見て、部屋の中央の椅子に座っていた中年の女性が、口を開いた。


「みんな、驚かせてごめんなさいね。実は、貴方達15人の里親が決まったの。」