…本当にここが理事長室?
目の前には、真っ白の校舎に光り輝く銀色のドア。最早ドアと言うより門だ。
「では、中で理事長がお待ちしておりますので、どうぞお入り下さい」
「あ、はい」
コンコン…
「失礼します…」
ガチャッ
「誠良聖那さん」
「は、はい」
入った途端名前を呼ばれる。
…何かした覚えはないんだけど。
「鈴宮学園へようこそ」
「へ…?」
何か言われると、強ばっていた身体が緩む。
「ふふっ。何か怒られるとでも思ったかい?安心しろ。私が君を呼んだのは、挨拶の為だよ」
…なんだ。安心した…。
「そうですか…。そういえば、私、始業式で挨拶があるんですが…何も用意してないんですけど、どうすれば…」
そう。うっかり挨拶の言葉を考えるのを忘れてきてしまった。
「安心しろ。それも用の1つだ。この紙通りに読んでくれれば構わないよ」
ラッキー!考えるのめんどくさかったんだ。不幸中の幸いだな。
「ありがとうございます。ではこれで、失礼します」
ガチャッ
…なんか、ちょっと上から目線な理事長だったな…。