俺は瑠璃様と立ちつくしていた。
「……突然、失礼いたしました。」
俺が瑠璃様に頭を下げる。
すると
「いいえ。ゆずきのあんな姿を見たの、久しぶりだわ。」
と瑠璃様は言った。
「……そうなのですか?」
「ええ。あの子があんなに楽しそうに私に何かをねだって、「ありがとう」なんて言って笑っている姿を見るの、最近ではなかったもの。」
「……そう……だったんですか。」
瑠璃様はお嬢様の後姿を見つめたままの姿で、俺にそう教えてくれた。
……お嬢様、あんなに元気で明るい感じなのに?
……ていうか、俺、お嬢様の母親と普通に話してる……。
お嬢様の母親とこうやって普通に話すのなんて、今までになかったから、少し戸惑った。
ここに来て、初めてのことばかりと、戸惑うことばかりだ。
慣れないことばかりで、どうしたらいいのかわからないことが多い。
戸惑うとか、驚くなんてこと、俺にはなかったのに。


