ケダモノ、148円ナリ

 ……いや、いい男かもしれないが。

 ああいう穏やかそうな男ほど、なに考えてんのかわからないんだぞ、明日実。

 こちらの視線を感じて、明日実が、びくびくと窺い見る。

 その小動物的な仕草に吹き出しそうになったが、なんとか堪えた。

 明日実は急いで話を切り上げようとした。

「はい。
 じゃあ、頑張ります。

 おにいさまも頑張って……。

 え?

 指輪ですか?」

 はは、と明日実は困ったように笑い、
「いえ。
 つけて行ってません。

 新入社員ですから。
 あまり飾り立ててもと思いまして。

 コップ洗ったりとか水仕事もありますし。

 傷でもついたら。

 ……え?

 手が荒れたりするほどは、しませんよー」
と明日実が笑う。

 給湯室でコップを洗うくらいで、荒れるかっ。

 どんだけ甘やかしだ。