ケダモノ、148円ナリ

「あ、あれ、わざとだったんですか?

 では、あの日、貴方が、おねえさんに出て行けと言われたのも運命……」

 そう言いかけると、微妙な顔をされる。

 そこだけは嫌な出来事だったようだ。

「お前も俺のことを素敵な人だと思ったから、俺を婚約者に仕立てようと思ったんじゃないのか」

 手をつかんだまま、貴継は言う。

「お前も俺に一目惚れしたんだよ」

 ……あれ、会ったの、二度目でしたよね。

「明日実……」

 貴継は明日実の座るソファに片膝をつき、強く手首をつかんでくる。

「まっ、待ってくださいっ」
と明日実は貴継の前に、ストップ、と手を突き出す。

「いや、待たない。
 少なくとも、キスはやり直す。

 お前のために」

 ええっ。
 私のためですかっ?

「ファーストキスなんだろ?
 よくその年までなにもなかったな?」

 コンパとか行かなかったのか? と問われる。

「コンパですか。
 あれはよくない行事ですね」

「行事なのか? あれ」