家に帰るなり、リビングで貴継が、
「さあ、来い、明日実」
と両手を広げてくる。
「……なんですか」
と冷ややかに見ながら問うと、
「俺とキスし直したいんだろう?」
と言い出した。
「言ってません~っ」
「恥ずかしがるな。
一度したら、何度しても同じだ。
そして、キスしたら、何処までしても同じだ」
と貴継は更にタチ悪く訂正してくる。
「一緒じゃないですよ、もう~」
明日実は溜息をつきながら、春物のコートをソファに置いて、腰掛けた。
なんだろう。
楽しかったのだが、最後の最後でどっと疲れたな、と思っていると、いきなり目の前に来た貴継が明日実の前に跪く。
「どっ、どうしたんですかっ」
と叫ぶと、
「いや、お前が俺が女の前に跪くとかないと言うから、跪いてやった」
そう言いながら膝の上にあった明日実の手を取り、その甲に口づけてくる。
「あの……」
なんだ? と貴継は明日実の手をつかんだまま、見上げてくる。



