ケダモノ、148円ナリ

 




 家に帰るなり、リビングで貴継が、
「さあ、来い、明日実」
と両手を広げてくる。

「……なんですか」
と冷ややかに見ながら問うと、

「俺とキスし直したいんだろう?」
と言い出した。

「言ってません~っ」

「恥ずかしがるな。
 一度したら、何度しても同じだ。

 そして、キスしたら、何処までしても同じだ」
と貴継は更にタチ悪く訂正してくる。

「一緒じゃないですよ、もう~」

 明日実は溜息をつきながら、春物のコートをソファに置いて、腰掛けた。

 なんだろう。
 楽しかったのだが、最後の最後でどっと疲れたな、と思っていると、いきなり目の前に来た貴継が明日実の前に跪く。

「どっ、どうしたんですかっ」
と叫ぶと、

「いや、お前が俺が女の前に跪くとかないと言うから、跪いてやった」

 そう言いながら膝の上にあった明日実の手を取り、その甲に口づけてくる。

「あの……」

 なんだ? と貴継は明日実の手をつかんだまま、見上げてくる。