ケダモノ、148円ナリ

「なっ、なにするんですかーっ」
と叫ぶと、

「いや、格好つけて、今まで手を出さなかったんだが。
 今日、酔った弾みで、誰かがお前のファーストキスを奪ったらどうしようと思って、気が気じゃなかったんだ」
と言い出した。

 いやいやいや。
 これはないだろう、と思う。

 いきなり過ぎる。

 また鼻で笑われそうだが、いろいろ夢があったのに。

 しかも、一瞬だったし、酔ってたし。

「またなにか考えてるな」

「せめて正気のときがよかったですー」
と顔を伏せて落ち込むと、

「じゃあ、頭から水でも被ってこい。
 ちょうどいい噴水がある」
と言い出した。

 なるほど。
 ロータリーの真ん中に噴水が……。

 貴方こそ、正気ですか。

「よし、被ってこい」

 それからまたキスしよう、と貴継は言ってくる。

 いや……遠慮しときます。