ケダモノ、148円ナリ

 




「じゃあ、俺は此処で。
 みんな気をつけて帰れよ。

 それと我が社の社員として、恥ずかしくないように、節度ある振る舞いをしてくれ」

 店の外で言う貴継に、いや、酔っ払いに節度とか言っても無理だろう、と思っていた。

 はーい、という声に混じり、
「部長、一緒に次行きましょうよー」
という声が聞こえたが、貴継は、

「いや、俺は明日も仕事だから。
 くれぐれも飲み過ぎるなよ」
と釘を刺して帰って行った。

 そうか。
 明日も仕事なのか、土曜なのにな、と思いながら、その背中を見送る。

 やっぱり、仕事って、大変なんだなー。

 みんなは、まだ呑みに行くか、カラオケに行くかで揉めていた。

 一番後ろをついて行きながら、明日実は、ちらと振り返る。

 酒が入って陽気な人々の行き交う夜の街に、もう見えない貴継の姿を探していた。