「じゃあ、俺は此処で。
みんな気をつけて帰れよ。
それと我が社の社員として、恥ずかしくないように、節度ある振る舞いをしてくれ」
店の外で言う貴継に、いや、酔っ払いに節度とか言っても無理だろう、と思っていた。
はーい、という声に混じり、
「部長、一緒に次行きましょうよー」
という声が聞こえたが、貴継は、
「いや、俺は明日も仕事だから。
くれぐれも飲み過ぎるなよ」
と釘を刺して帰って行った。
そうか。
明日も仕事なのか、土曜なのにな、と思いながら、その背中を見送る。
やっぱり、仕事って、大変なんだなー。
みんなは、まだ呑みに行くか、カラオケに行くかで揉めていた。
一番後ろをついて行きながら、明日実は、ちらと振り返る。
酒が入って陽気な人々の行き交う夜の街に、もう見えない貴継の姿を探していた。



