ケダモノ、148円ナリ

 あっ、こらっ、と思ったが、既に場は盛り上がっている。

「え、えーと、じゃあ」
と財布を開けていると、

「なにしてんの?」
と隣りの席の栗原とかいう男の人が覗いてきた。

「あっ。
 また、100円足りないっ」
と明日実が言うと、

「僕、貸してあげるよ」

 はい、と栗原が貸してくれた。

 女子はだいたい覚えたが、男の人は、まだうろ覚えだ。

 確か、営業だとか言ってたな。

 横田さんと一緒かー、と思いながら、すみません、と頭を下げる。

 可愛い感じの人だった。

 そういえば、美典たちが、ひとり可愛い男の子が居るとか言ってたな、と思い出す。

「で、ではですね」
と立ち上がった明日実は、100円玉2枚をみんなに見せ、

「この100円玉が、なんと、3枚にっ」

 はいっ、と100円玉を素早くすり合わせ、3枚に見せると、酔っているみんなが、おおーっ、と驚いてくれた。