ケダモノ、148円ナリ

 この人のことだから、後ろに立ってるときに、既に一度、チェックしているとは思うのだが。

 すぐ横のプリンターに出てきた紙を慌てて取り、はいっ、と手渡しすると、それを見ながら貴継は、
「ところで、これを見てなにか気づくことはないか」
と言ってきた。

「え?」

 その書類を自分の方に向けられ、明日実は緊張しつつも、凝視する。

 人事部部長の名前の入った書類だ。

 なにか……

 なにか気づくことは……

「あっ」

「わかったか」
と言った貴継に、

「貴継って、こうして見ると、貴様って見えますねっ」
と言うと、安田たちが吹き出した。

「佐野明日実~」

「あっ、でもっ、貴様って、もともと敬称だったんですよねー」
と笑って誤魔化そうとしたが、貴継は顔を近づけ、

「じゃあ、お前、社長に向かって、貴様って言ってこい」
と言ってくる。

 ひーっ。
 すみませんっ。