ケダモノ、148円ナリ

 




「明日実?」

 貴継は、明日実の身体が傾ぐのを見た。

 横に倒れる前に抱きとめる。 

 ……フォーク持ったまま寝るな。

 少し笑ってその寝顔を見たあとで、抱き上げ、ベッドに運んでやった。

 レースのカーテンの中に入れてやりながら、ちらと天蓋を見上げ、
「……せっかく買ってやったのに、爆睡か」
と愚痴る。

 寝ている明日実に、責めてキスだけでも、と思ったのだが、
『駄目ですっ。
 私、誰ともそんなことしたことないんですっ』
と言った明日実の言葉を思い出し、ちょっと笑う。

 記憶に残らないファーストキスじゃ、俺も嫌だな。

 だが、まあ、せっかくだから、と寝かせた明日実の側に手をつき、その頬に軽くキスした。

 頬にだけ、と思ったのだが、そのやわらかさにどうしようか迷う。

 明日実はこんな怪しい自分を信じ切っているかのように、あどけない顔で眠っている。

 側に腰掛け、しばらくその顔を眺めていた。