「明日実?」
貴継は、明日実の身体が傾ぐのを見た。
横に倒れる前に抱きとめる。
……フォーク持ったまま寝るな。
少し笑ってその寝顔を見たあとで、抱き上げ、ベッドに運んでやった。
レースのカーテンの中に入れてやりながら、ちらと天蓋を見上げ、
「……せっかく買ってやったのに、爆睡か」
と愚痴る。
寝ている明日実に、責めてキスだけでも、と思ったのだが、
『駄目ですっ。
私、誰ともそんなことしたことないんですっ』
と言った明日実の言葉を思い出し、ちょっと笑う。
記憶に残らないファーストキスじゃ、俺も嫌だな。
だが、まあ、せっかくだから、と寝かせた明日実の側に手をつき、その頬に軽くキスした。
頬にだけ、と思ったのだが、そのやわらかさにどうしようか迷う。
明日実はこんな怪しい自分を信じ切っているかのように、あどけない顔で眠っている。
側に腰掛け、しばらくその顔を眺めていた。



