可愛いが、所詮、おまけの指輪か、と明日実は蓋を閉めた。
「明日実……」
顔を上げた明日実は、心配そうに呼びかけてくる顕人に向かい言った。
「おにいさま。
心配なさらないでください。
私、もうおにいさまが居なくても大丈夫です。
だって、私にも決まった人が……」
え? という顔を顕人はした。
ちょうどその男がすぐ側を通るところだった。
実は、さっきからどうも気になって、目で追っていたのだ。
明日実は、運良くか悪くか、程よく真横を通ったその男の腕を、飛んで火に入る夏の虫っとばかりに、むんずとつかんだ。
「私っ、この方と結婚するんですっ!」
間があった。
「……誰が?」
と顕人が問うてきた。
「私が」
「誰と?」
と問うたのは、その男だったが、動転している顕人は気づかなかったようだ。
「この人とですっ」
と明日実は、逃すまいと腕をつかんだまま、男の背を押し、顕人に向かって突き出した。
「明日実……」
顔を上げた明日実は、心配そうに呼びかけてくる顕人に向かい言った。
「おにいさま。
心配なさらないでください。
私、もうおにいさまが居なくても大丈夫です。
だって、私にも決まった人が……」
え? という顔を顕人はした。
ちょうどその男がすぐ側を通るところだった。
実は、さっきからどうも気になって、目で追っていたのだ。
明日実は、運良くか悪くか、程よく真横を通ったその男の腕を、飛んで火に入る夏の虫っとばかりに、むんずとつかんだ。
「私っ、この方と結婚するんですっ!」
間があった。
「……誰が?」
と顕人が問うてきた。
「私が」
「誰と?」
と問うたのは、その男だったが、動転している顕人は気づかなかったようだ。
「この人とですっ」
と明日実は、逃すまいと腕をつかんだまま、男の背を押し、顕人に向かって突き出した。



