ケダモノ、148円ナリ

 追い出されたってことは、昨日のゴージャスな美女が日奈子さんだろうか? とつい、正面の貴継を凝視していると、美典たちが、
「誰ですか? 日奈子さんって。
 彼女ですか?」
と突っ込んでくる。

 今日会った部長サマに強引だな~、といつもなら思うところだが、今は、お願いっ、訊いてっ! と思っていた。

 貴継が、一瞬、ちら、とこちらを見、
「日奈子は……」
と言いかけると、

「日奈子さんは、こいつの姉さんだよ」
と大和が親指で貴継を指差し言った。

 ……は?

 姉さん?

「あいつ、男が出来て。
 結婚するんだそうだ。

 追い出されたよ」

「だから、爽やかそうな笑顔で声が怖ええよ」
と大和が言っている。

 なんだ。
 お姉さんの家を追い出されたんだったのか……。

「でもそうかー。
 日奈子さん結婚しちゃうのかー。

 残念。

 お前に似ていることだけが欠点の、申し分ない美女だったのに。

 で、どんな相手?」
と訊かれた貴継は吐き捨てるように言う。