ケダモノ、148円ナリ


 




「ただいまー。
 あー、今日は疲れました」

 ね、と言い終わらないうちに、ドアを閉めた貴継が抱きついてきた。

「はっ、離してくださいーっ」
と叫ぶと、

「なに抵抗してんだ。
 あそこまでしておいて」
と言い出す。

「貴方が勝手にしたんじゃないですかーっ」

「今更逃げる女を初めて見たぞ」

 一度も二度も三度も同じだ、と明日実の腰を抱いたまま貴継は言うが、
「他の人と比べないでくださいっ。
 過去を語らないでくださいっ。

 不愉快ですっ」
と押し退けようとすると、

「お、なんだ。
 いっちょまえに妬いてるのか。

 可愛いな、明日実は」
と笑いながら、こちらの意志お構いなしに、抱き上げてくる。

 お姫様抱っこをされながら、明日実は貴継を押し返そうとする。

「誰かっ。
 助けてくださいーっ」

「莫迦、助けを呼ぶな。
 顕人が飛んでくるだろうが」

 あいつ、絶対、まだ合鍵持ってるぞ、と言い出す。