「ただいまー。
あー、今日は疲れました」
ね、と言い終わらないうちに、ドアを閉めた貴継が抱きついてきた。
「はっ、離してくださいーっ」
と叫ぶと、
「なに抵抗してんだ。
あそこまでしておいて」
と言い出す。
「貴方が勝手にしたんじゃないですかーっ」
「今更逃げる女を初めて見たぞ」
一度も二度も三度も同じだ、と明日実の腰を抱いたまま貴継は言うが、
「他の人と比べないでくださいっ。
過去を語らないでくださいっ。
不愉快ですっ」
と押し退けようとすると、
「お、なんだ。
いっちょまえに妬いてるのか。
可愛いな、明日実は」
と笑いながら、こちらの意志お構いなしに、抱き上げてくる。
お姫様抱っこをされながら、明日実は貴継を押し返そうとする。
「誰かっ。
助けてくださいーっ」
「莫迦、助けを呼ぶな。
顕人が飛んでくるだろうが」
あいつ、絶対、まだ合鍵持ってるぞ、と言い出す。



