ケダモノ、148円ナリ

 



 昼休み。

 今日は貴継も社食に来て、新入社員のみんなとご飯を食べた。

「なんか今朝、廊下で、部長が佐野さんに婚姻届を突きつけてたって聞いたんですが」
と栗原が遠慮がちに言ってくる。

「これか?」
と貴継が、胸許から折り畳んだ婚姻届を出してきた。

 きゃーっ、と女性陣が黄色い声を上げる。

 そこで、貴継が栗原を見、にやりと笑って言った。

「佐野さん、か?
 あずみんと呼んでも構わないんだよ、栗原くん」

「え、遠慮しときます……」

「やだもう、明日実なにも言わないから~っ」
と苦笑いする栗原の横で、美典たちが騒いでいる。

「ねえ、会社入る前から付き合ってたの?
 なんでそういうことになったの?」
と問われていると、貴継が横から、

「こいつが、道端に居た俺を148円で買ったんだ」
と言ってきた。

 やだーっ、なんですか、それーっ、と美典たちが笑う。

「ちっ、違いますっ。
 私が買ったのは、ケダモノですっ」

 いや、クダモノだろ、という目で貴継は見たが、栗原が、
「え、ゲテモノ?」
と言ってきた。