ケダモノ、148円ナリ

「社長も所詮、アリの一匹です。
 女王様は、みんなの働く、この会社そのものです。

 君もいつか社長になるのなら、心しておくように。

 ところで、私は、ひとつ、君に逆らいます」
と社長は言った。

「人事部付、佐野明日実。
 配属は秘書室」

「え」

 貴継も驚いた顔をした。

「君はいずれ、専務になる自分のために彼女を秘書にしようと思って、人事部付にしてくれと言って、彼女の配属を保留にさせていたんでしょう。

 だから、私が先に鍛えておいてあげますよ。

 君が重役になったときに、彼女の方が上から物を言って、サポートできるように」
と社長は笑う。

 貴継が顔をしかめた。

「……そんな秘書はいりません」

 明日実は社長と顔を見合わせて笑う。