ケダモノ、148円ナリ

「だが、貴継。
 お前の父親は知能犯だったな」
とその重役の人は言った。

「いつかこうなる日を見越して、お前をみんなに引き合わせていたのかな。
 お前の強引なやり方に、お前を怒鳴ろうと思っても、どうも小さいときの顔がちらついて」
と言い出した。

「やはり、お可愛らしかったんですか?」
とつい、訊いてしまうと、

「何処に食いついてんだ、お前は……」
と貴継に言われてしまう。

「貴継、お前の父親は、頭は良かった。
 仕事も切れた。

 なのに、やる気がないから、みんな腹を立ててたんだ」

 あははははは、と笑いながら、楽しげに輪っかを放っている貴継の父を思い出し、すみません、と何故か明日実が頭を下げていた。

 ……能力的な意味ではなく、適材適所ってあるよな。

 恐らく職場ではあの笑いがムカついただろうしな、と思いながら、去って行く二人を見送った。

「黒崎部長は良い人ですね」
と言うと、

「あれが良い人なら、俺も良い人だろ」
と貴継は言ってくる。