ケダモノ、148円ナリ

「まあ、幾ら創業者一族だといっても、段階を踏んでいかないと古参の人間は納得できないぞ。

 私やこの人みたいな人間は特にな」
と言う。

 な? と気安く肩を叩いて、重役の人に苦い顔で、
「此処は会社だ、黒崎」
と言われていた。

 友だちか、同期かな、と思う。

 だが、あれ? と思った。

「部長、貴継さんが上に立つこと自体はお嫌じゃないんですか?」
と問うと、

「仕事ができる上司は悪くない。
 上が莫迦だと下は苦労するからな」
と言って、重役に、

「……俺のことか?」
と言われていた。

 言ってねえだろ、と黒崎は言いながら、
「だから、私は今の社長にもついて行こうと思ったんだ。
 前の社長は、会社に愛着がなかったからな」
と貴継をちらと見て言う。

「まあ、そもそも、あの人は社長なんて、やりたくなかったんだろ」

「生き生きしてるしな、今」
と溜息をついて、重役の人が言う。

 どうやら、この人もお孫さんとでも見に行ったらしい。