いつもの電車に乗っていると、扉が閉まる寸前、奥さんに支えられた安田課長が乗ってきた。
「か、課長……」
なんで居るんですか。
「きょ、今日、入社式だから」
……死にますよ。
「大丈夫ですよ。
貴継さんが……
あ、失礼。
天野部長が、安田課長が入念に準備をしてくださってたから、円滑に進められるって言ってましたよ。
どうぞ、ゆっくり養生されてください。
安田課長が早く元気になってくださらないと、貴継さんも困ってしまいます」
結局、貴継さんと言ってしまいながら、そう言うと、
「うん。
ごめんね。
わかってるんだけどね」
と安田課長は、何故か謝ってくれる。
「ほら、あなた、帰りましょう。
部長の奥様がこうおっしゃってくださってるんですから」
いえ、あの、まだ妻じゃないんですけど、と思ったが、今、否定するのもな、と思い、はは、と笑う。
安田課長も痛がりながら、少し笑っていた。



