「はなっ、離してくださいっ。
私、今日から研修に行くんですっ」
ほう、そうか、と言いながら、踏ん張る明日実の手を貴継はつかんだままだ。
「初日から遅刻とか、ボコボコにされます」
「ボコボコにはしない。
評価を下げるだけだ」
「はい?」
と言ったとき、貴継が一瞬、手を緩めた。
今だっ、と行こうとした瞬間、貴継がまた手に力を入れたので、つんのめる。
ゴツッとガラスのテーブルで額を打った。
「たーっ!」
「大丈夫か?
職場でとろくさくて使えそうにないなら、せめて顔は保てよ」
「貴方がつかんでたからですよねえっ?」
と振り返ると、貴継の顔がすぐそこにあった。
どきり、と身を引いてしまう。
位置が悪く、今度は背中にテーブルの角が刺さった。
「う……っ」
背中を押さえて、悶絶する明日実を貴継は、
「阿呆か」
と冷ややかに罵ったあとで、
「お前が悪い。
恋人を起こすときは、やさしくキスのひとつもするもんだ」
と言い出した。
私、今日から研修に行くんですっ」
ほう、そうか、と言いながら、踏ん張る明日実の手を貴継はつかんだままだ。
「初日から遅刻とか、ボコボコにされます」
「ボコボコにはしない。
評価を下げるだけだ」
「はい?」
と言ったとき、貴継が一瞬、手を緩めた。
今だっ、と行こうとした瞬間、貴継がまた手に力を入れたので、つんのめる。
ゴツッとガラスのテーブルで額を打った。
「たーっ!」
「大丈夫か?
職場でとろくさくて使えそうにないなら、せめて顔は保てよ」
「貴方がつかんでたからですよねえっ?」
と振り返ると、貴継の顔がすぐそこにあった。
どきり、と身を引いてしまう。
位置が悪く、今度は背中にテーブルの角が刺さった。
「う……っ」
背中を押さえて、悶絶する明日実を貴継は、
「阿呆か」
と冷ややかに罵ったあとで、
「お前が悪い。
恋人を起こすときは、やさしくキスのひとつもするもんだ」
と言い出した。



