ひい。
こうして、殺人事件って起こるのですね。
いわゆる、痴情のもつれというやつでしょうか、と思いながら、貴継が殴り掛からないよう抱きとめる。
「おにいさまっ、お早くっ。
遅刻しますっ」
いや、問題は、そこじゃねえだろ、という顔で貴継が見る。
「貴継さん、無遅刻無欠勤の貴方もですっ。
専務になるんでしょうっ?」
だが、貴継は、ちょっと迷うな、と呟いている。
「殺したくはないが、一発は殴りたい。
とどまってもらうべきか。
去ってもらうべきか」
貴継が苦悩している間に逃げるべきだと思うのだが、顕人は立ち止まり、明日実を見ていた。
殴られるか、殺られるかの二択の前に居るのも気にならないかのように。
「おにいさま、お願いですっ。
お早くっ」
顕人は迷ったようだが、明日実を振り返りながらも出て行った。
「……逃げたか」
ドアの閉まる音がしたあとで、こちらを向き直り、貴継は言う。
「どうだ。
嬉しかったか。
憧れのおにいさまにキスされて」
そう冷ややかに言ってくるのだが。
こうして、殺人事件って起こるのですね。
いわゆる、痴情のもつれというやつでしょうか、と思いながら、貴継が殴り掛からないよう抱きとめる。
「おにいさまっ、お早くっ。
遅刻しますっ」
いや、問題は、そこじゃねえだろ、という顔で貴継が見る。
「貴継さん、無遅刻無欠勤の貴方もですっ。
専務になるんでしょうっ?」
だが、貴継は、ちょっと迷うな、と呟いている。
「殺したくはないが、一発は殴りたい。
とどまってもらうべきか。
去ってもらうべきか」
貴継が苦悩している間に逃げるべきだと思うのだが、顕人は立ち止まり、明日実を見ていた。
殴られるか、殺られるかの二択の前に居るのも気にならないかのように。
「おにいさま、お願いですっ。
お早くっ」
顕人は迷ったようだが、明日実を振り返りながらも出て行った。
「……逃げたか」
ドアの閉まる音がしたあとで、こちらを向き直り、貴継は言う。
「どうだ。
嬉しかったか。
憧れのおにいさまにキスされて」
そう冷ややかに言ってくるのだが。



