「私、モスクワの式場で待ってます。
私と結婚する気になったら、いらっしゃい」
完全に上から目線で、顕人に言い放ち、出て行った。
玄関のドアが閉まる音を聞きながら、
「あれは、追うべきなのか?」
と貴継は同じ女である明日実に訊いてみる。
明日実と喧嘩したときの対処法をどさくさ紛れに訊いてみようと思ったのだ。
「追ってきてくださったら、もちろん嬉しいですが。
……今、行ったら、一生おにいさまの立場が弱くなる気がしますね」
と玄関の方を見ながら真剣な顔で明日実は言う。
不思議だな、と思っていた。
あれだけ大好きな顕人のことなのに。
明日実は何故か、彼女と顕人が一生添い遂げるものとして、未来を見据えて語っている。
いいのか、顕人を取り返さなくて。
妹でもいいと言ってくれてるんだぞ?
明日実は冷蔵庫から卵を出しながら、顕人の今後について、熟考しているようだった。
「卵は三人分でいいぞ。
あの女帰ったからな」
「ああ、そうでしたね。
パン、焼きすぎちゃいました」
「元から焼きすぎだろ……」
そんなしょうもない話をしている間も、顕人は黙っていた。
私と結婚する気になったら、いらっしゃい」
完全に上から目線で、顕人に言い放ち、出て行った。
玄関のドアが閉まる音を聞きながら、
「あれは、追うべきなのか?」
と貴継は同じ女である明日実に訊いてみる。
明日実と喧嘩したときの対処法をどさくさ紛れに訊いてみようと思ったのだ。
「追ってきてくださったら、もちろん嬉しいですが。
……今、行ったら、一生おにいさまの立場が弱くなる気がしますね」
と玄関の方を見ながら真剣な顔で明日実は言う。
不思議だな、と思っていた。
あれだけ大好きな顕人のことなのに。
明日実は何故か、彼女と顕人が一生添い遂げるものとして、未来を見据えて語っている。
いいのか、顕人を取り返さなくて。
妹でもいいと言ってくれてるんだぞ?
明日実は冷蔵庫から卵を出しながら、顕人の今後について、熟考しているようだった。
「卵は三人分でいいぞ。
あの女帰ったからな」
「ああ、そうでしたね。
パン、焼きすぎちゃいました」
「元から焼きすぎだろ……」
そんなしょうもない話をしている間も、顕人は黙っていた。



